婚姻に準じた「事実婚(内縁)」が、同性カップルの間でも成立するかどうかが争われた慰謝料訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は17日付で不貞行為をした元交際相手の上告を棄却する決定を出した。 小法廷は、同性カップル間でも内縁関係が成立すると認め、元交際相手に慰謝料の支払いを命じた202…
LGBTなど性的少数者のカップルを婚姻相当の関係と認める「パートナーシップ制度」の導入を目指す三重県が、療養看護や財産管理を相手に委任することなどを明記した「公正証書受領証」を希望者に交付する方針であることが11日、県の要綱案で明らかになった。県などによると、受領証は東京都渋谷区や港区、中野区などで交付しているが、都道府県レベルでは初めて。県は制度の9月導入を目指しており、専門家は「パートナーシップ制度が国全体へ波及する大きな一歩だ」と評価している。 要綱案では、カップルの一方が県内に住所を持つか転入予定などの要件を満たし、県が定める「パートナーシップ宣誓書」を提出すれば、互いを人生のパートナーと認める宣誓書の受領証を交付する。
宣言式で記念撮影に臨む岡崎誠也市長(前列左)ら=高知市本町5の高知市役所で2020年11月24日午後1時59分、北村栞撮影 高知市は24日、多様な性のあり方を認める町づくりを推進するため、市役所で「高知市にじいろのまち宣言式」を開催した。市は性的少数者同士のカップルを公的に認める「パートナーシップ登録制度」の導入を予定しており、この日の式典には制度導入に向けて活動を続けてきたNPO団体「レインボー高知」の共同代表ら3人も参加。性的マイノリティーへの理解を深める市の大きな一歩を喜んだ。 高知市は県内の自治体では初めて同制度の導入を決定し、2021年2月からの運用開始に向け準備を進めている。人権同和・男女共同参画課によると、多様性を広く認めるという観点からパートナーが同性であるという要件を置かず、トランスジェンダーの異性カップルや事実婚の人々も利用できる制度設計を目指すという。制度自体に婚姻の
鴻巣市は、LGBTなど性的少数者同士のカップルを自治体が公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」を12月から始める。市によると、県内で初めて宣誓カップルの市営住宅への入居を可能にした。 宣誓できるのは成人の独身者2人で、市内で同居しているか、どちらか1人の現住所が市内にあって3カ月以内に同居予定で…
「ギリギリで、もう無理だった。あのままだったら路上生活しかなかった」。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、失業した40代の男性はそう振り返る。同性愛者でもある。20年以上勤めた外資系企業を昨年秋に退職後、働いていた飲食店がコロナで閉店。追いつめられた男性を救ったものとは何だったのか。【藤沢美由紀/統合デジタル取材センター】 「楽しかった」会社員生活、震災で暗転 コロナによる経済の影響は、社会の中の弱い立場にある人の暮らしを直撃している。男性はゲイで、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)陽性者。昨年10月までサービス業関連の正社員として真面目に働いてきた。北海道から九州まで、各地の事業所の立ち上げに携わり、会社の規模拡大とともに、自身も昇進を重ねてきた。 ゲイであることについては、入社してまもないころ、交通事故に遭ったことで同性のパートナーとの同居が会社側にわかり、自分から周囲に伝えることにしてい
東京高裁判決後、記者会見で心境を語る、亡くなった男子学生の母親=東京・霞が関の司法記者クラブで2020年11月25日午後2時53分、吉田航太撮影 同性愛者であることを「アウティング」(暴露)され、転落死した一橋大法科大学院の男子学生(当時25歳)の遺族が起こした訴訟で、東京高裁が11月25日、アウティングを「許されない行為であることは明らか」とする初の司法判断を示した。アウティングの被害者が、法的責任を追及する道が開かれたことになる。提訴から4年8カ月。遺族は、性的少数者の権利と、それを侵害することの違法性を、司法に訴え続けた。 おまえがゲイなの隠すのムリだ 「俺、好きだ、付き合いたいです」。2015年春、法曹を志していた一橋大法科大学院の男子学生は、男子同級生に、無料通信アプリ「LINE(ライン)」で思いを打ち明けた。翌日、「いい奴(やつ)だと思うけど、そういう対象としては見れない。これ
台湾のデジタル担当相、唐鳳(オードリー・タン)氏。この日に着ていた上着には、特別な意味が込められていた=台北市の行政院で2020年11月23日、福岡静哉撮影 台湾のデジタル担当相、唐鳳(オードリー・タン)氏(39)が毎日新聞のインタビューに応じた。ITを民主主義に生かす方策は。分断が進む社会で互いを尊重し合う社会を目指すには――。世界が直面するさまざまな課題に対する唐氏の示唆に富む考え方を紹介する。 15歳で起業 シリコンバレーで活躍 35歳でデジタル担当相 唐氏は異色の経歴の持ち主だ。中学時代に学校へ行かなくなり、独学でコンピューター言語を習得して15歳で友人らと起業。高校には進学せず、プログラミングで世界的業績を上げ、米シリコンバレーのIT業界でも活躍した。 20歳のころ、自分が心と体の性が違うトランスジェンダーだと自覚。24歳の時に男性から女性に性別を変え、その後、名前も「唐宗漢」か
今年9月、秋田市内の一部の民家に「過激な『同性婚合法化』運動に気を付けよう」と書かれたビラが投函(とうかん)された。LGBTなど性的少数者への差別をあおるようなビラは、当事者の家にも投函されたといい、相談を受けた支援団体は「本人たちの幸せを侵害する権利は誰にもない。誤った情報で差別や偏見をあおるとは」と憤る。【高野裕士、小鍜冶孝志】 性的少数者を支援する団体「性と人権ネットワークESTO」の真木柾鷹代表によると、当事者から寄せられた情報で問題のビラの存在が発覚した。ビラの投函が確認されたのは、秋田市議会でパートナーシップ制度に関する一般質問が出た直後。戸籍上は女性で男性として暮らす当事者の家にもビラが配られ、秋田地方法務局や県警、県などに相談している。
虹焼の湯飲み茶わんを手にする嶋田全宏さん(左)と加納克典さん。下は虹焼の6色のラッピングと虹紐=三重県伊賀市役所で、大西康裕撮影 伊賀市猪田に住む加納克典さん(41)、嶋田全宏さん(44)の同性カップルと伊賀焼の陶芸家ら移住者仲間4人の合わせて6人のプロジェクトで、LGBTなど性的少数者のシンボルでレインボーカラーと呼ばれる6色をデザインした湯飲み茶わんが生まれた。2人は「虹焼」と名付けた湯飲みで「伊賀と伊賀の伝統産業を活性化する一助になれば」と話している。【大西康裕】 湯飲み茶わんは高さ8センチ、直径7センチ。多様性を表すシンボルの赤・オレンジ・黄・緑・紫の6色が顔料でリング状に施されている。
性的マイノリティーへの理解を求めて「ゲイ・アート」を制作し続けたフィンランド出身のアーティスト、トウコ・ラークソネン(1920~91年)の生誕100年を記念した個展「THE WORLD OF TOM OF FINLAND」が20日、心斎橋パルコ(大阪市中央区)で始まった。12月7日まで。 ラークソネンはヘルシンキの美術学校で広告を学び、第二次世界大戦に出征。終戦後は広告会社に勤めていたが、当時同性愛は違法とされており、男性への欲望を周囲に知られないように隠していた。一方、男性の筋骨隆々の体や、レザー・ジャケットをまとった力強い姿などを描き、その思いをひそかに芸術で形にし続けていた。 57年、作品がアメリカの雑誌の表紙に採用されたことが転機となる。作家名を「トム・オブ・フィンランド」と名乗り、作品がゲイ社会で人気を呼び始めると、次第にゲイの人権運動の象徴として、世界的に知られていった。
鈴木英敬知事が20日の県議会本会議で、LGBTなど性的少数者のカップルを自治体が婚姻と認める「パートナーシップ制度」を導入する意向を表明したことで、県内の当事者や制度導入を呼びかける支援団体などからは喜びの声が聞かれた。多様性を認める社会の実現へ向けた第一歩となるか。実効性のある制度づくりが求められる。【森田采花】 同日、県内の高校生で作る「パートナーシップ制度を実現する三重の高校生の会」のメンバーが県庁を訪れ、制度の導入を求める要望書を提出した。代表を務める高田高校の奥野竜斗さん(2年)は「大人たちに(社会を)変えてもらうのを待つだけなく、自分たちに何ができるかを考えた」と制度の導入を求める1330人分の署名を岡村順子県環境生活部長に手渡した。岡村部長は「この署名も力にしながら実現に向けて進めていく」と応…
LGBTなど性的少数者のカップルをパートナーとして公的に位置付ける「パートナーシップ制度」の導入を求め、市民団体が各市の9月議会に提出した陳情書について、三好、小松島両市議会が全会一致で採択した。美馬市議会も、今月6日の総務常任委員会で採択しており、24日開会の定例市議会で審議を予定するなど、各市で動きが出ている。 当事者や支援者で作る市民団体「レインボーとくしまの会」が、すでに運用を開始した徳島市を除いた県内7市に対し、一斉陳情していた。陳情書では、全国で制度の導入が進む状況や、制度のない自治体に住む当事者が公的な認証を求める場合、引っ越しを余儀なくされる問題などを記載。「家族を営むことは人としての根源的な人権」とし、パートナーシップ制度創設のほか、性的指向・性自認を理解するための施策も求めた。
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