同性婚を法的に認めないのは人権侵害に当たるとして、同性愛の人たちが日本弁護士連合会(日弁連)に人権救済を申し立てる準備を進めている。配偶者控除や相続権がないなど不利益が生じているとして、現在274人(12日現在)が申立人に名を連ね、九州でも福岡、長崎、熊本から手を挙げる人が出てきた。「性的指向を理由に生きる選択肢が制限されない社会になってほしい」と声を上げる。 活動の中心を担うのは、弁護士でつくる同性婚人権救済弁護団。日弁連は申し立てを受けた後、調査し、人権侵害の恐れがあると判断した場合、国に法制化を求める要望や勧告を行う。 同弁護団九州・沖縄地区代表の森あい弁護士(熊本県)は「同性婚をしたい人や支持する人がどれくらいいるか、見える形で示すことが法制化の第一歩。それぞれの立場で考えてもらいたい」と語り、申立人のほか、ホームページで賛同の署名も募っている。 § § 日本で同性婚が認められ
LGBT(性的少数者)の人たちにとって、どんな職場が働きやすく、どんな職場が働きにくいのか。カミングアウトして働くことをどう感じているのか。当事者たちに聞いてみた。 「こいつ、ゲイだから」。福岡県内のIT企業に転職した慎也さん(37)は、初めて会う同僚の健二さん(34)のことを上司からこう紹介された。名前や所属部署よりも先に、だ。 実は、慎也さんもゲイ。「こんな紹介のされ方をするなんて、ここで働く間はカミングアウトしたくない」。それが会社の第一印象で、周囲の健二さんへの対応を見るうちに、その思いはますます強くなった。 社内の一部は、健二さんのことを「彼」ではなく「彼女」と呼ぶ。たまたまピンク色の紙バッグを持っているのを見ると、女性用の服を買ったと誤解し「ついにそういう服を着るんだね」とからかう。「もっと女子力つけろよ」と言う人まで。健二さんは恋愛対象が男性であって、心の性が女性なわけではな
「周りに同じような人がいなかったから、自分がどうなりたいのか、将来像がうまく描けなくて」。埼玉県の大学4年生ルイさん(22)は、トランスジェンダー(心と体の性が異なる人)。就活のまっただ中だ。 女性として生まれたが、心の性は男性寄り。髪は短く、化粧やスカートは苦痛で、服も男性用がしっくりくる。今のところ、手術して戸籍上の性を変えたいとは思っていない。職種や勤務条件よりも、そんな自分を理解してくれる会社で働きたい。 「カミングアウトが面接で不利に働くのではないか。受け入れてくれる会社が見つかるのか」。悩み、迷いながら、説明会やセミナーに参加している。 3月中旬、東京都内で開かれた「LGBT就活トークライブ」は、ルイさんのような学生たちの支援が目的だ。 「門前払いの企業もあったが、前例はなくても受け入れたいという企業もたくさんあった。LGBTフレンドリーな(LGBTに理解を示す)企業は外資系だ
拡大 ドイツ銀行グループのオフィスは、シャツやストールなど、LGBTへの共感、理解のメッセージを示す紫色であふれた=15日、東京都千代田区 2日後の「同性愛嫌悪とトランスジェンダー嫌悪に反対する国際デー」に合わせ、支援や共感を「Wear Purple(紫を着ること)」で示す社内キャンペーンが理由だ。 「カミングアウトできない社員にとっても、支援しているというメッセージは大きな力になるはず」。同グループ、ドイツ証券の柳沢正和さん(37)は笑顔を浮かべた。4年前に、ゲイだと職場で明かした。同性パートナーとの同居が社宅の利用条件に合わないと不動産会社に指摘され、人事部に相談して家族扱いが認められたことがきっかけだ。 2013年には、同グループのLGBT(性的少数者)ネットワーク「DBプライド」を日本でも立ち上げた。当事者が悩みを相談できる窓口を作って社内に告知し、LGBTをテーマにした講演会も開
拡大 ヒルトン福岡シーホークで開かれた勉強会で、LGBT当事者にどう接客するかを話し合うスタッフ=3月、福岡市 3月末、福岡市のホテル、ヒルトン福岡シーホーク。同市でLGBTの情報発信などに取り組むNPO法人「Rainbow Soup」の理事長、小嵒(こいわ)ローマさん(41)は、ホテルのスタッフ約50人に語りかけた。 同ホテルはこの日、LGBTの勉強会を初めて開いた。基礎知識を学んだ後はグループに分かれ、具体例を想定して議論した。(1)同性2人連れがダブルルームを予約している(2)同性カップルからレストランで記念日を祝いたいとの申し出があった(3)トランスジェンダーが大浴場の利用を希望した-などの例だ。 LGBTの法務支援に携わる行政書士の中橋優さん(40)=北九州市=は、小嵒さんと一緒に講師として参加した。中橋さんによると(1)は実例で、ホテル側は「ツインへ変更できますよ」と案内してし
正社員になって彼女と結婚したい。他人から見ればささやかな夢か。熊本市の蓮(れん)さん(25)=仮名=にとっては、さまざまなハードルを越えなければ実現できない、大きな目標だ。 蓮さんはトランスジェンダー(心と体の性が異なる人)。女性の体で生まれたが、心の性は男性だ。幼いころからスカートが嫌いだった。ハスキーな地声と「男っぽい」言動のため、学校ではひどいいじめに遭った。 高校卒業でやっと楽になれると思ったが、現実は違った。就職が決まらない。面接のたびに容姿と履歴書の名前、性別欄を見比べられ、けげんな顔をされる。「接客業は難しい」と言われ、コンビニやガソリンスタンドなどアルバイトも次々断られた。 ようやく決まった仕事も、「女性らしさ」を求められ、自分自身を偽るのがつらかった。カミングアウトして働けば大丈夫かと思ったが、長時間の立ち仕事のときに「生理痛が重い」と漏らすと「あんた男なんでしょ」と怒鳴
法務省が、同性愛やトランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)などセクシュアルマイノリティー(性的少数者、LGBT)をテーマにした人権啓発DVDを初めて作成した。各地の法務局や自治体などで貸し出すほか、動画投稿サイト「ユーチューブ」の「法務省チャンネル」でも視聴できる。 題名は「あなたがあなたらしく生きるために 性的マイノリティーと人権」。元NHKアナウンサーの草野満代さんをナビゲーターに、性的少数者の人権問題に詳しい宝塚大看護学部の日高庸晴教授が解説している。 性的少数者の説明では、性的指向や性自認が揺れ動いたり、定まらなかったりする人を表す「Q(クエスチョニング)」という言葉も盛り込んだ。実例を基に、制服やトイレなど学校生活で悩むトランスジェンダーの中学生や、ゲイであることを隠して働く会社員を主人公にしたドラマもあり、幅広い世代で活用できるようになっている。 同省では、性的少数者の人
■新訳男女 語り合おう■ ●「多様な性」 権利拡大 米国では、同性婚の権利を認める最高裁判決が出るなど、LGBT(同性愛や両性愛、トランスジェンダーなど多様な性の人たちの総称)の権利拡大の動きが広がっている。在福岡米国領事館の主催で、11日に福岡市で講演した全米最大の支援団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン(HRC)」の弁護士ブライアン・モールトンさんに、最新事情と歩みを聞いた。 ‐連邦最高裁は6月、婚姻を男女の関係に限定した「結婚防衛法」を違憲とする判決を出しました。この意味と社会への影響は。 「婚姻に関する法律は州ごとに違い、同性婚は首都ワシントンと13州で導入されています。これまでは州法の下で結婚しても、結婚防衛法のため国に婚姻関係と認められず、配偶者としてのビザ発給や税金の控除など社会保障上の優遇措置が受けられませんでした」 「判決を受け、同性婚も異性間の婚姻と同じ扱いとなりま
■新訳男女 語り合おう■ 東京都渋谷区が同性カップルを「結婚に相当する関係」と認め、証明書を発行する条例案を3月議会に提出する。可決されれば、全国でも初めての制度となる。世界で同性婚を認める動きが広がる中、国内の自治体でも性的少数者(LGBT)に対する理解を深めようとする動きが広がりつつある。13日付朝刊で各自治体の動きに触れたが、詳しく紹介する。 12日、記者会見した渋谷区の桑原敏武区長は「多様性のある社会をつくっていくことが、活力を生む。渋谷区からの発信が国を変えていくかもしれない」と意義を強調した。 互いを後見人とする「パートナーシップ証明書」発行の規定のほか、男女平等やLGBTの人権の尊重を区民や事業者の責務として盛り込む。証明書の発行は、区内在住の20歳以上の同性カップルが対象。 区は証明書を持つカップルに対し、家族向け区営住宅の入居を認める。区内の事業者には夫婦と同様に扱うよう
「友達の詩」と一緒に成長してきました シンガー・ソングライター 中村中さん 2014年03月23日(最終更新 2014年03月23日 14時08分) 写真を見る写真を見る 性同一性障害をカミングアウトしているシンガー・ソングライター、中村中さん。「友達の詩(うた)」の情感あふれる歌声が耳に焼き付いていて、一度お会いしたいと思っていました。濃くて深くて強い何かが、歌の向こう側から響くような気がします。 -「友達の詩」を初めて聞いた時、ビビッと来たんです。これは半端なラブソングではない、と。その時はどんな人が歌ってるか知らなかった…。 ★中村 この曲で、中村中を知ってもらえるようになり、紅白歌合戦にも出場しました。ライブで行ける場所も増え、ファンも増えた大事な歌です。 -2006年9月発売ですよね。その後、性同一性障害をカミングアウトされたんですか。 ★中村 CDの中の紹介書に、中村中のセクシ
■新訳男女 語り合おう■ ミニシアター作品として記録的なヒットとなっている米映画「チョコレートドーナツ」。1970年代に起きた実際の出来事を基に、母親から育児放棄されたダウン症の少年と一緒に暮らすため、法や偏見と闘うゲイカップルの姿を描いている。来日したトラビス・ファイン監督(45)に作品に込めた思いを聞いた。 《ルディは歌手を夢見ながら、ダンサーとして日銭を稼ぐ日々。ある日、ゲイを隠して生きてきた弁護士と恋に落ちる。ルディのアパートの隣には、ダウン症のマルコが住んでいた。母親は薬物所持で逮捕。残されたマルコを2人で育て始める。幸せな生活もつかの間、ゲイだと周囲に知られると、家族に差別や偏見が襲いかかり…》 ‐映画化の経緯は。 「元のシナリオは80年代初期、実在のルディ、マルコ、母親のモデルから着想を得て書かれたもの。最初に読んだとき、全く共通点がなく、とても一緒になりそうにない人たちが家
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