6カ月ぶりで日本に来て、意外に思うことが1つある。今年春ころの新聞には、「デフレ」、「デフレ対策」という言葉がしきりに出てきていた。また、雑誌などでは、1997年の一連の3つのショック(財政引締め、アジア危機、主要金融機関倒産)以来の経済停滞が、主として需要面の要因に起因するか、それとも改革を要する「構造」、不良債権を抱えている銀行やリストラを卑怯に回避している企業という供給面の欠陥に説明されるべきかの論争が活発だった。 しかし、今は論争の熱が冷めたどころか、全くなくなってしまったようだ。自民党総裁戦で需要増進策か構造改革かの議論が一時再燃し、それがいわゆる「抵抗勢力」の全敗に終わってから、需要重視論者も絶望して疲れたのか、マスコミが読者が飽き飽きだと判断したのか、それとも小泉さんの森派に自民党代議士が大勢駆け込むように、日本のエコノミストたちが皆、もう体制に従うしかないという判断に達した