異星文明とのファーストコンタクトを扱った『三体』はSFの歴史に新たなページを加える作品だ。著者は中国の作家,劉慈欣(りゅう・じきん,リウ・ツーシン)。SF雑誌「科幻世界」に連載された後,2008年から3部作として刊行,中国国内ではシリーズ合計で2100万部以上に達するベストセラーになった。著者のエッセイによると,本来の主要読者層(高校生から大学生)ではないIT(情報技術)起業家や科学者,エンジニアも注目し,理論物理学者による解説書も出版されているという(『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』(早川書房)に収載された「ありとあらゆる可能性の中で最悪の宇宙と最良の地球:三体と中国SF」より)。 2014年刊行の英語版はSF界最高のヒューゴー賞を英語圏以外の長編翻訳書として初めて受賞。オバマ大統領(当時)やフェイスブック創業者のザッカーバーグらが愛読していることで評判を呼び,シリーズ合計で
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