「ネット社会と民主主義」[著]辻󠄀大介 インターネットは社会や政治にどんな影響を与えているか、全国調査とウェブ調査にもとづいて分析した論文集だ。統計学の専門的手法を使うが、分かりやすく書かれており、読みごたえがある。 効率化や省力化によってユートピアが到来する。そんな語りに対して、害悪も様々に議論されてきた。サンスティーン『インターネットは民主主義の敵か』が代表だ。インターネットは、見たい情報だけを選べる。そうした「選択的接触」によって意見は過激になって、社会が分極化する。この説明は正しいか、日本にも適(かな)うか、本書はデータから検証していく。 インターネットは一方で、信頼や寛容を育んでいるという。SNSを利用すると一般的信頼が高まる。ツイッターや「5ちゃんねる」の閲覧によって異論に寛容になる。そんな傾向が観察された。 しかし逆方向の作用もある。産経サイトやヤフーニュースを見ると、自民