軽トラックを運転中に道路を渡っていた男性(当時69)をはねて死亡させたとして、自動車運転過失致死罪に問われた奈良県宇陀(うだ)市の農業の男性(43)に対し、奈良地裁は9日、無罪(求刑禁錮1年8カ月)判決を言い渡した。今井輝幸(てるゆき)裁判官は、男性は視野が狭くなる難病「網膜色素変性症」で、「被害者を見つけられなかった疑いがある」と述べた。 男性は昨年3月21日午後4時ごろ、奈良市の国道交差点で、軽トラックで男性をはねて死亡させたとして起訴された。捜査段階で容疑を認めたが、起訴後、病院で網膜色素変性症と診断され、公判で弁護側は「黒い残像のようなものを見たが、人であるかわからないまま像が消え、認識がないまま事故を起こした」と無罪を主張。検察側は「病気であっても前方注視の義務違反があった」としていた。 判決は、男性は1.0以上の矯正視力があったために免許更新時に見過ごされたが、診察した医師