全国の裁判官が9月から結婚前の旧姓で裁判をできることになった。最高裁は28日、判決文などの裁判文書で、裁判官の旧姓使用を認めると発表した。一昨年の大法廷判決は「旧姓使用が広がっており、不利益を軽減できる」ことを理由に「夫婦同姓」を合憲としたが、最高裁自らは裁判での旧姓使用を認めていなかった。市民団体は、民間企業にも影響を与えると歓迎する。 最高裁は今後、旧姓を使用する裁判官の名簿などを整備し、混乱を防ぐ。最高裁は今回の変更の理由を、「社会情勢の変化などを踏まえて認めることとした」と説明している。 夫婦同姓を合憲とした一昨年の大法廷判決では、旧労働省出身の桜井龍子氏ら女性判事3人が連名で「夫婦同姓は違憲」と反対意見を述べた。桜井氏は官僚時代、旧姓を通称として使ったが、判事時代は異動の通知書などでしか旧姓使用を認めない最高裁の慣例に従い、戸籍名を使わざるをえなかった。 今年4月の参院法務委員会