松江市の教育委員会が市内の小中学校図書館に置いてある漫画『はだしのゲン』に閲覧規制をかけようとして、大きな騒動になった。クレーマーが右寄りの人だったために、議論がウヨサヨ論争に流れてしまい、規制の表向きの理由だったはずの「発達に合わせた表現の適性」については議論が深められないままになってしまった。これは表現の自由の問題だというわけである。ただ、そのロジックについては気をつけておきたいことがる。 最初に言っておくと、僕は閲覧制限に反対である。現在手元に作品はないけれども、僕も『はだしのゲン』を小学校高学年の頃に読んだ。その記憶では、家族も失い、放射能を浴びながらもなんとか生き抜こうとする主人公のバイタリティには心動かされた。同じ戦争を扱った作品でも、主人公が無抵抗なまま大人しく死んでゆく『火垂るの墓』より全然好きだ。 僕が閲覧制限をかけるべきではないと思うのは、それが良い作品だからである。し
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