監督・脚本:橋口亮輔 「人間にとって一番悪いのは、腹が減るのと寒いゆうことだすわ。」 はるき悦巳「じゃりん子チエ」より 生きている。不思議なもんで。生きている。 生きている歳を重ねるにつれて、だれかの訃報を聞いたり、長年年賀状のやりとりしていた人との連絡が途絶えたり、なんてことがあったりする。人間皆、順調に生きているわけでもなく、なにも失わずに生きている人の方がまれなのかもわからない。身体のどこかが不調が起こるだけで、人は社会生活でひとつハンデを追う。目が、耳が、手が、足が。そして心が。 この社会はふと眺めているだけでは順調に回っているようにも見える。だが、今日もどこかで人はなにかを失ったりしながら生きている。私が、テレビの前で働いて疲れ切った身体をテレビの前で横たえて屁をしている間も、である。 この世界のどこかで。喪失の痛みにのたうちながら生きている人がいる。そしてそのために、何かを「選
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