「より生命的なAIへ」という副題どおり、人工知能の未来を開くとものとしての人工生命の価値を物語る書籍だが、それにあたって両分野の類似性を述べるではなく根底の世界観の相違を際立たせていく点は、それぞれの分野の精神性につうじた岡瑞起さんならではの語り口だと感じた。「生命的なAI」にいたるためには、人工知能の自然な延長線上にそれを望むのではなく、両者の断絶を意識した上でそれを乗り越えなければならない(Beyond AI)、あるいは、その落差を利用したある種の転回を為さなければならないという声が聞こえてくる一冊だ。 人工知能と人工生命。収束的な知と発散的な知。閉ざされた目的と開かれた目的。競争の精神と共生の精神。一つの目的、一つの正解に向けて競争し、知を収束させてしまいがちな人工知能に対して、生命の進化のあり方に学ぼうとする人工生命では、開かれた目的に向けて四方八方に発散していく無数の生命知が共生
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