マスコミや政治家は、失業や企業の倒産というものを極めてネガティブなものと捉えているようだ。そして、それは税金を投入し、資本主義の原理原則を踏み外してでも避けなければいけないもののようだ。筆者には、失業や企業の倒産というものが、社会が豊かになっていくための必要不可欠なプロセスである、という当たり前のことが忘れさられているような気がしてならない。経済成長と失業はコインの裏と表であり、悪いことではないのである。以下は、拙著『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』からの引用である。10人の村で、経済成長というものの本質を考えている。 10人の村の話 最初は貧しい自給自足の農村です。10人がみな朝から晩まで田畑を耕して必死に飢えないように食べ物を作っています。ところがある日、村人のひとりが肥料を発明しました。この肥料を使うと安定してたくさん野菜や果物や穀物を作れることがわかったのです