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ブックマーク / k-houmu-sensi2005.hatenablog.com (8)

  • 特許権の制限は国益に反するのか? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    漂流目前だったTPPがギリギリのところで“大筋合意”にこぎつけてしまったことで、政治情勢は輪をかけて不穏な方向に向かっているような気がするし、実務の世界でも余計な仕事が増えて嘆いている人は結構多いように思われるのだが、その一方で、日経紙を筆頭に、肯定的な論陣を張り続けているメディアや知識人も多い。 そして、TPPの大筋合意事項の中でも、特にいろいろと議論が噴出しそうな知財分野に関し、全面的に保護強化の方向性を支持する論稿*1が、2日朝刊の「経済教室」に掲載された。 「特許保護へ国内法整備を」というタイトルが付された相澤英孝・一橋大学教授のこの論稿は、TPPの合意内容を簡潔に紹介するとともに、合わせて特許権の行使をめぐる国際的状況をコンパクトに俯瞰する、という点で、一般読者向けのものとしては、非常に分かりやすいものだと思うのであるが、若干気になるところもある。 特に、わが国の状況に関し、 (

    特許権の制限は国益に反するのか? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 「7年」という月日が変えたもの、変えなかったもの〜中山信弘『著作権法』〔第2版〕より - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    東大の中山信弘教授(当時、現・名誉教授、明治大学特任教授)が、待望の概説書『著作権法』を世に出されたのは、2007年10月のことであった。 自分などは、序文から既にほとばしってくる、著者の熱い思い(混迷する著作権制度への憂いと、新しい時代に対応するための「あるべき姿」に向けられた解釈論、及び立法に向けた思い等)に圧倒され、「これを精神的支柱とすべきである」というようなことを、このブログの書評に添えて書いたものである*1。 それから7年。 初版が多くの知財関係者の「待望」が積み重なった末に世に出たものであることを考えると、当時の感覚を知る者にとっては、「もう第2版が出るの?」という印象の方が強かったりもするのだが(笑)、冷静に考えれば「7年」というのは決して短い時間ではない。 著作権法の世界だけを眺めても、平成21年、平成24年と、2度の大きな改正を経ており、〔初版〕で中山教授が投げかけた“

    「7年」という月日が変えたもの、変えなかったもの〜中山信弘『著作権法』〔第2版〕より - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 久々に垣間見た「大阪」の意地〜ディスプレイフォント事件控訴審判決が示した創作者救済の道筋 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    テレビ放送で用いる「ディスプレイフォント」をめぐって、フォント製作事業者とテレビ局が争っている事件がある。 昨年夏に大阪地裁で出された第一審判決については、このブログでも紹介したところで*1、「フォント」が著作権で保護されない、という前提に立っているがゆえの原告(フォント製作事業者)側の苦しさ、を察しながら、当時コメントしたものであった。 エントリーの末尾で、 「個人的には、もうあと一審級くらいは、判断を仰ぐ機会があっても良いのではないかな、と思うところである。」 と書いたものの、平成23年の北朝鮮映画事件*2以降、「著作権による保護を受けられない創作物」の保護について、冷淡な姿勢を示し続ける裁判所の傾向からすれば、大きなサプライズはないだろうな・・・と、当時は漠然と思っていたものだった。 だが、先月出された大阪高裁の判決(公表されたのは先週)は、結論こそ「控訴棄却」にとどまっているものの

    久々に垣間見た「大阪」の意地〜ディスプレイフォント事件控訴審判決が示した創作者救済の道筋 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • これが解釈論の限界なのか?〜自炊代行訴訟・知財高裁判決への落胆と失望 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    昨年9月30日に第一審判決が出てから、はや1年超。 単純な「控訴棄却」事件であれば、1回で結審して早々に判決を出すことも稀ではない知財高裁が判決まで1年以上も引っ張った、ということもあって、ユーザーサイドの人々を中心に“かすかな期待感”を抱く向きもあった「自炊代行」訴訟だが、今週22日に出された判決の結論は、“予定調和的なそれ”のままだった。 「顧客の依頼でや雑誌の内容をスキャナーで読み取り電子データ化する『自炊代行』の適否が争われた訴訟の控訴審判決で、知的財産高裁(冨田善範裁判長)は22日、著作権(複製権)の侵害を認めて複製差し止めと70万円の侵害賠償を命じた一審・東京地裁の判断を支持し、東京都内の自炊代行業者側の控訴を棄却した。」(日経済新聞2014年10月23日付朝刊・第39面、強調筆者) 件訴訟の原告(被控訴人)は、浅田次郎氏、弘兼憲史氏をはじめとする一流の作家・漫画家で、代

    これが解釈論の限界なのか?〜自炊代行訴訟・知財高裁判決への落胆と失望 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • “Google Books”訴訟が教えてくれたこと。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    そういえば昔、和解案をめぐって、どこもかしこも大騒ぎになったことがあったっけ・・・ と懐かしく思い出されるような“Google Books”訴訟決着のニュースが不意に飛び込んできた。 「インターネット検索最大手、米グーグルによる図書の全文複写プロジェクトを差し止める訴訟で、米ニューヨーク連邦地裁は14日、米作家協会の訴えを棄却した。利用者がを見つけやすくなるなど公共の利益にかなうと判断、著作権侵害にならないとした。」(日経済新聞2013年11月16日付け朝刊・第9面) 日に来ると、比較的小さめの記事になってしまうが、米国のメディアではどこも大きくこのニュースを取り上げているようだし*1、S.D.N.YのDenny Chin判事が書いた法廷意見もあちこちで取り上げられている*2。 自分はものぐさな人間なもので、いつもなら、わざわざ原文を見に行くようなことはしないのだが、今回は、何となく

    “Google Books”訴訟が教えてくれたこと。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
    azure-frogs
    azure-frogs 2013/11/25
    日本の裁判所が“公共の利益”の目的100%じゃないとそれを認めないくらいには硬直的だと感じているが。
  • 「著作権」の重さを改めて感じる一事例〜ディスプレイフォントの使用をめぐって - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    パッと見た限りでは、それなりに創作性がありそうで、何らかの形で投資インセンティブを保護する必要性もあるように思われるのに、判例上は「著作物」として認められておらず、それゆえに著作権法の保護も受けられない“コンテンツ”は、決して少なくない。 「印刷用書体がここにいう著作物に該当するというためには、それが従来の印刷用書体に比して顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要であり、かつ、それ自体が美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えていなければならないと解するのが相当である。」 という最高裁判決(最一小判平成12年9月7日)の下、事実上ほとんどのものについて、著作権法上の保護が否定されることになった「文字フォント」などは、その典型ということができるだろう。 この判決に対しては、当然ながら異論も出されたところであり*1、それが未だにくすぶっている面もあるのだが、最高裁判決が出た今となっては

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  • これぞ知財高裁!というべき判決〜「引用」理論の新たな展開 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    以前ブログでも取り上げた「鑑定証書カラーコピー事件」*1。 第一審判決が、鑑定会社(被告)による「鑑定証書添付用縮小カラーコピー」の作製を複製権侵害と認定し、著作権114条2項に基づいて6万円(+遅延損害金)の支払いを命じたことが物議を醸していたのだが、それから僅か5ヶ月ちょっとで、知財高裁があっと驚くような被告側逆転勝訴判決を出した。 これぞ知財高裁!と言いたくなるような鮮やかなこの判決を、ここでは暫し堪能することにしたい。 知財高裁平成22年10月13日(H22(ネ)第10052号)*2 控訴人:株式会社東京美術倶楽部 被控訴人:X 控訴人は、原審に引き続き、件「縮小コピー」の「複製」要件該当性を争い、控訴審では特に、著作権法47条等に言及しつつ「鑑賞性色彩がある部分が利用された場合に限り」複製権侵害となる旨主張していた。 このような主張は、「雪月花事件」等に着想を得たものと考えら

    これぞ知財高裁!というべき判決〜「引用」理論の新たな展開 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 今さらだけど、鑑定証書縮小カラーコピー問題。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    今日の日経紙の法務面に、「鑑定目的の縮小カラーコピー」をめぐる東京地裁の判決が「絵画の流通業界に激震」を与えている、という記事が載っていた。 「絵画が真作であることを示す鑑定証書に作品の縮小カラーコピーを添付することは著作権侵害なのか‐。この点が争われた裁判で、東京地裁はこのほど画家の遺族の訴えを認め、違法との判断を示した。これに対し、鑑定証書を発行してきた東京美術倶楽部(東京・港)は敗訴を不服として控訴した。絵画の流通業界に激震が走った司法判断や紛争の背景を探った。」(日経済新聞2010年7月5日付朝刊・第16面) 最近、とんと知財系の判決をウォッチしていなかったこともあって、今さらこの判決の存在を知ったのだが、記事からだけでは伝わって来ないところも多いし、せっかくの機会なので、判決に直接あたってみることにしたい。 東京地判平成22年5月19日(H20(ワ)31609号)*1 原告:B

    今さらだけど、鑑定証書縮小カラーコピー問題。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
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