生物の新陳代謝のように、カプセル型の住宅を取り換えながら建物を存続させる。こんな発想で建築家の黒川紀章氏(1934〜2007年)が設計した中央区銀座の「中銀(なかぎん)カプセルタワービル」が来春にも、老朽化で解体される見通しになった。カプセルは実際に交換されることはなかったが、黒川氏の思想を残そうと、取り外して国内外で再利用する計画が進んでいる。 約10平方メートルの四角いカプセルの中に、丸い窓、テレビなどが組み込まれた収納棚、ユニットバス。「『宇宙船みたい』とよく言われるけど、茶室をイメージしたそうです」。案内してくれた区分オーナーの前田達之さん(54)が説明した。