2010年代以降を振り返ると、特に2011年は優れたアルバムが数多く登場した年だったが、中でもジェイムズ・ブレイクのデビュー・アルバム『ジェイムズ・ブレイク』はその年のベスト・アルバムに推されることが多かった。そして、その2011年にニコラス・ジャーもデビュー・アルバム『スペース・イズ・オンリー・ノイズ』を発表している。『スペース・イズ・オンリー・ノイズ』は『ジェイムズ・ブレイク』のミニマル・テクノ版とも形容され、ジャーのサウンドにはリカルド・ヴィラロボスからマシュー・ハーバートなどの影響が見受けられた。そして、従来のテクノやハウス、エレクトロニック・ミュージックの枠に収まらないところがニコラス・ジャーの特徴で、ダウンテンポや変拍子などの幅広いリズム・アプローチを見せるとともに、映画音楽、民族音楽、ブルース、ジャズなど様々な音楽的要素を融合し、実験的なコラージュ作家という側面も見せた。ジャ