「児童の性的虐待コンテンツ(CSAM)」などを規制する欧州連合(EU)・欧州委員会の提案が賛否を巻き起こしている。拡大するデジタル空間を巡り、私たちは自由と秩序のはざまを揺れる。 30年以上が過ぎても、あのときの恐怖と苦しみからは逃れられない。 子供のころに性的な虐待を受けた人は、苛烈な体験を生き延びた「サバイバー(生存者)」と呼ばれる。デジタルプライバシーの専門家、アレクサンダー・ハンフさん(50)はその一人だ。 12歳で入学した英国東部の全寮制学校で悪夢のような日々を送った。学校では教師や職員が、日常的に生徒たちを虐待していた。教師に性器をつかまれながら、喉元を押さえつけられたこともあった。
