毎日新聞は16、17の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は、11月18、19日実施の前回調査(21%)より5ポイント減の16%で、内閣発足以来最低を2カ月連続で更新した。不支持率は前回調査(74%)より5ポイント増の79%だった。 調査方法が異なるので単純比較はできないが、支持率が20%を下回るのは、菅直人政権下だった2011年8月(15%)以来。不支持率79%は、毎日新聞が世…

14日朝時点の与党税制改正大綱案(右)にあったトリガー条項を巡る記述4行(下線部分)は、大綱から削除された=東京都千代田区で2023年12月14日、浅川大樹撮影 自民、公明両党は14日に決定した2024年度与党税制改正大綱で、ガソリンにかかる税金の一部を軽減する「トリガー条項」を巡る記述を盛り込まなかった。同日朝時点の大綱案には記載していたが、急きょ削除した。 「引き続き3党による協議を行う」。14日朝時点の大綱案には、トリガー条項についてそうした記述があった。岸田文雄首相が11月、国民民主党の求めに応じ、ガソリン価格の高騰対策として凍結しているトリガー条項の解除を検討することを表明。自民、公…
ウクライナの戦況について話す東京大先端科学技術研究センターの小泉悠准教授=東京都目黒区で2023年12月6日、和田大典撮影 ロシアがウクライナで続ける「特別軍事作戦」で、ウクライナ軍の反転攻勢の開始から半年が過ぎた。ウクライナ側は占領地域の奪還で目立った成果を上げられないまま、再び冬を迎えた。さらなる長期化が予想される戦闘の行方はどうなるのか。東京大先端科学技術研究センターの小泉悠准教授(ロシア軍事分析)に話を聞いた。【聞き手・山衛守剛】 ――戦況は手詰まり状態と見えます。 ◆現在、どの戦線においても、どちらか一方が著しく有利という状況にはない。ウクライナはロシアを自国領から追い出すこと、ロシアはウクライナを屈服させることが戦略目標だが、いずれもハードルは高い。 ウクライナ軍は大規模な反転攻勢を始めた6月から10月ごろまでは主導権を握り、どこで戦うかを決められていた。反攻の「本丸」としてい
軍事転用可能な装置を不正輸出したとして外為法違反に問われた化学機械製造会社「大川原化工機(おおかわらかこうき)」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された問題で、警視庁公安部が有識者から聞き取った内容と異なる聴取報告書を作成した疑いがあることが、捜査に協力した大学教授ら4人への取材で判明した。毎日新聞が入手した報告書を確認してもらったところ、4人全員が「一方的に作られたものだ」と証言した。 この報告書は経済産業省に提出され、同社の装置が「輸出規制品に該当する」と判断される材料となった。経産省は当初、輸出規制品と認めることに消極的だったとされる。複数の捜査関係者は取材に「経産省を説得するには、有識者の『お墨付き』が必要だった」「有識者をだます形で報告書は作られた」などと話していて、有識者の証言と符合している。
軍事転用可能な装置を不正輸出したとして外為法違反に問われた化学機械製造会社「大川原化工機(おおかわらかこうき)」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された問題で、東京地検が2021年7月、警視庁公安部に起訴取り消しの方針を伝えた際のやり取りを記録した警察の内部文書を毎日新聞が入手した。地検は、公安部が法令解釈を「意図的に、立件方向にねじ曲げた」と裁判官に捉えられるリスクがあると指摘し、公判を維持できないと通告していた。 この問題を巡っては、違法な逮捕・起訴があったとして同社が国家賠償訴訟を東京地裁に起こし、捜査に携わった現職の警視庁警部補が23年6月の証人尋問で、事件を「捏造(ねつぞう)」と証言する極めて異例の事態となっている。文書からは、地検が公安部の捜査を恣意(しい)的と疑って起訴判断を見直したことがうかがえる。
記者会見で「なぜ娘が自死に追い込まれたのか真実を知りたい」と涙ながら訴える女子生徒の両親=福島県郡山市で2023年12月4日、根本太一撮影 福島県立須賀川創英館高校に通っていた3年の女子生徒(当時17歳)が2022年4月に自殺した問題で、生徒の両親が4日、郡山市内で記者会見した。県教育委員会が設置した第三者委員会が8日に報告書をまとめるのを前に、「なぜ娘が追い込まれたのか、真実を知りたい」と涙ながらに訴えた。 生徒は、新学期開始間もない22年4月15日に亡くなった。両親は直後、県が開設している相談窓口に、生徒が「クラスにいづらい」などと送ったメールの書き込みを見つけたという。 0歳時に腸の一部を切除する手術をした際の家族の苦労話を知り、小学生で「看護師になる」夢を描いていた。中学の弁論大会では、生命の大切さを語り、高校ではスポーツ部活動のマネジャーとして青春を満喫していた。
国際オリンピック委員会(IOC)は29日、パリで理事会を開き、冬季五輪の開催地に2030年はフランスのアルプス地域、34年は米ユタ州ソルトレークシティーを選び、38年についてもスイスに絞り込んだ。 時には国威発揚を懸けて、多くの都市がこぞって五輪招致に名乗りを上げたのは今や昔のことだ。高騰する開催経費への懸念から立候補都市が減少。さらに冬季大会は、地球温暖化とともに雪不足で開催可能な場所が限られていく。そんな中でIOCが繰り出した「ウルトラC」は、候補地がIOCと特権的に交渉を進められる「優先的な対話」という枠組みだ。これにより、スイスの開催を開幕15年前に確保した。 「まさか、だった。こんなことになると想定した人は、日本中に誰もいない」。東京五輪の招致、運営に長く関わってきた関係者はこぼした。 五輪開催都市決定は長らく…
益田赤十字病院ロビーで開かれたがん薬物療法についての勉強会=益田赤十字病院で2009年12月、上村里花撮影 医師主導ウェブサイト「Lumedia(ルメディア)」のスーパーバイザーを務める勝俣範之・日本医科大武蔵小杉病院教授が執筆する「がんによくある誤解と迷信」。近年、進歩が著しいがんの薬物療法について解説します(この記事は渡邊清高・帝京大医学部病院教授がレビューしました)。 3種類に分けられる薬物療法 がんに対する薬物治療は、一般的に抗がん剤治療と呼ばれます。先日も、乳がん手術後の患者さんに抗がん剤の話をしようとしたら、「抗がん剤の効果をすごく疑問に思っています。本当に効果があるのですか? 体がボロボロになるだけじゃないんですか?」と聞かれました。 確かに、抗がん剤は副作用もあり、がんを完全に治せるような完璧な治療ではありません。ただ、以前よりずっと副作用も楽になり、仕事をしながらでも抗が
デジタル行財政改革会議で発言する岸田文雄首相(左)。右は河野太郎デジタル相=首相官邸で2023年11月22日午後5時57分、竹内幹撮影 岸田文雄政権が力を入れるデジタル行財政改革をめぐり、国と地方の不協和音が強まっている。改革の肝となる国と地方のデジタル基盤の統一・共通化に関し、自治体側の不満が噴出しているためだ。 噴き出す自治体の不満 「現在の補助上限額では到底、移行経費全体をまかなうことができない」「安全に移行するために十分な期間とは言い難い」 人口20万人以上の62市でつくる「中核市市長会」が10月5日にまとめた緊急要望には、国に対する不信がにじんでいた。 <写真>人口規模にかかわらず、自治体から相次ぐ緊急要請 ▼国の補助金だったはずが……。政府と自治体、広がる溝を解説▼ 人口50万人以上の20市でつくる「指定都市市長会」も11月1日に同様の緊急要請を発表している。地方自治体側の「反
宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)が、劇団員以外の一部スタッフに適用した専門業務型裁量労働制について、西宮労働基準監督署が2021年9月、歌劇団に是正勧告をしていたことが分かった。毎日新聞の取材に、歌劇団が明らかにした。歌劇団は休日労働などの取り扱いについて指導を受けたと説明しているが「詳細については差し控えたい。労働基準監督署からの指摘には適切に対応しています」と回答した。 今年9月に劇団員の女性が死亡した問題を受け、西宮労基署は11月22日、労働基準法などに基づき歌劇団を立ち入り調査し、実態解明を進めている。しかし、過去にも行政指導を受けていた事実があり、労務管理の不備が組織全体に及んでいた可能性もある。
毎日新聞は18、19の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は21%。これまで岸田内閣としては最低タイだった10月14、15日実施の前回調査(25%)から4ポイント下落し、過去最低を更新した。調査方法が異なるため単純比較はできないが、歴代政権で支持率21%は旧民主党・菅直人政権末期の2011年8月(15%)以来の低い水準となる。不支持率は10月調査比6ポイント上昇の74%。岸田内閣としては過去最高で、不支持率が70%台となるのは麻生内閣時代の09年2月(73%)以来、14年9カ月ぶり。 総合経済対策に盛り込まれた所得税・住民税の1人当たり計4万円減税への厳しい評価や、副大臣、政務官の相次ぐ辞任が影響した可能性がある。
パート労働者が一定の年収を超えると、社会保険料を負担することになるために働くことを控える「年収の壁」が議論されています。 厚生労働省社会保障審議会年金部会の委員で、働きかた研究所代表の平田未緒さんと考えました。【聞き手・須藤孝】 ◇ ◇ ◇ ――年収の壁の背景にある第3号被保険者(会社員や公務員など厚生年金の加入者である第2号被保険者に扶養されている配偶者。以下3号)をどう考えますか。 平田氏 もともとは、通常は3号には所得がないから、独自の保険料は求めないという考え方でした。自分で保険料を払うことが難しい人にも老後を保障する意味がありました。 しかし、3号でも配偶者が高収入の場合は、世帯としては保険料を払うことが難しくない場合があります。 しかも、保険料を払うのが大変な人は、第1号被保険者(自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人など。国民年金)や2号の中にもいます。 また、年収の壁を
宝塚歌劇団の劇団員の女性が9月末に急死した問題で、歌劇団が14日に公表した調査報告書は上級生からのハラスメントの有無には踏み込まなかった。一方、劇団員が声を上げづらい閉鎖的な組織風土の背景として、タカラジェンヌOGからは「宝塚音楽学校時代から、生徒間で受け継がれる厳しい上下関係がある」と指摘する声が上がる。 ファンの間でも有名なタカラジェンヌの厳しい上下関係は、養成する宝塚音楽学校から、規律を重んじ、美しい舞台を作り上げるための「伝統」とされてきた。 「食事や睡眠が十分にとれず、お風呂に入れない日も多かった」。歌劇団OGの東小雪さんは在団中の経験をこう振り返る。2003年に宝塚音楽学校に入学し、05年に91期生として入団。花組の男役として舞台に立ち、翌年に退団した。 東さんが在籍していた当時の音楽学校では、下級生に学校内の掃除や廊下の歩き方、先輩が利用する阪急電車にお辞儀をするなど細かい決
初演から109年の歴史を誇る宝塚歌劇団で、過密な活動スケジュールや団員間の厳しい指導の一端も明らかになった。調査報告書や死去した女性の遺族の訴えからは、「清く正しく美しく」というモットーの裏で、つらい環境でも劇団員が声を上げづらい閉鎖的な体質が浮かび上がる。専門家は、背景の一つに「劇団員側にとって不利な契約形態がある」と指摘する。 フリーランス契約 並ぶ「義務」 宝塚歌劇団の劇団員は全員、2年制の宝塚音楽学校を経て入団。花、月、雪、星、宙(そら)の5組のいずれかに配属され、退団するまで「生徒」と呼ばれる。学校組織的な色合いが強い一方で、劇団員の契約形態は入団年次によって変化する。歌劇団などによると、入団1~5年目は歌劇団と雇用契約を結び、入団6年目以降はそれぞれがフリーランス(個人事業主)として業務委託契約を結ぶ。亡くなった女性は入団7年目で、フリーランスだった。 フリーランスは本来、自身
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