「早く1勝したいですね」 開幕前からそう言い続けていたのは、角田誠や鄭大世といったベテランたちだった。 昨年の最後に9連勝して自動昇格をつかみとった攻撃サッカーに対する自信はある。ただ、それが本当にJ1で通用するかどうか考えると、一抹の不安もある。自信を得るには時間がかかるが、失うのは早い。 若い選手が多いチームだけに、勝てない時期が長くなると、自信を失って、せっかく積み上げてきた自分たちのサッカーを見失ってしまう可能性もある。だからこそ、勝負の厳しさを知るベテランたちは、早く1勝することの重要さを強く感じていた。 開幕前から不安を増大させるトラブルも続いていた。もっとも痛かったのは、始動時から非常に動きが良く、攻守の要となっていたボランチの竹内涼が、開幕直前に負傷離脱してしまったことだ。そのため攻撃のリズムが停滞し、開幕のヴィッセル神戸戦では硬さやミスも目立って、得点の匂いがしないまま9