電通に罰金50万円の有罪を言い渡した6日の東京簡裁判決は、日本を代表する大企業の労務管理に警鐘を鳴らす内容となった。従業員の命や健康に関心を払わない企業に対する司法の目は厳しさを増している。衆院解散で「働き方改革」関連法案の国会提出は見送られたが、企業にとって長時間労働の是正は待ったなしの状況だ。 「違法残業の態様は軽視できるものではない」「具体的対応は部長らに任され、サービス残業も横行する状態だった」。判決には社の体質に厳しい言葉が並んだ。 9月の初公判。当初は書面審理だけの略式裁判を請求した検察側が違法残業の実態を詳述した。それによると、2014年度に違法残業をした社員は月約1400人に上り、会社が労使協定を順守するよう指示を出した15年4月以降も月100人以上を数えた。 こうした状況に、電通が取った対策は、月50時間以内とする協定の法定外労働時間を最大100時間に緩和することだった。