大住憲生と中島渉。言わずと知れた着道楽の双璧である。国内外のテーラー事情にも精通している彼らがさんざん散財をしてたどり着いた答えは何か? その回答は面白いほどに異なっていた。 イタリアやイギリスでスーツをつくってきた大住氏が出した答えはメイド・トゥ・メジャー。「さまざま試したなかには、うまくいくときもあれば、そうじゃないときもある。奥が深く、フトコロ具合を考えると歩留まりが悪い(笑)。職人の手仕事は心の底から尊敬するものだが、これ見よがしなディテールも私の美意識に合いません。普通に見えて、標準サイズにない体型にフィットしてくれるスーツとは? これを突き詰めると、おのずとメイド・トゥ・メジャーになる。ベースのパターンがあるから想像の範囲内で仕上がるし、値段も控えめ。数ある選択肢のなかでもリングヂャケットは別格でした。古くから知っていますが、技術、感性ともによく鍛えられています」