短3度におさまるサビ サビがすごいです。何がすごいと申しますと、音域がほぼ短3度におさまっていることです。多くの場合、ポップスや歌謡のサビといえば盛り上げるもの。盛り上げるための「演出」や「脚本」のような要素として、広めの音域を用いて華やかな印象を与えようとするメロディを書きがち(?)かもしれません。ところがこの『恋の季節』のサビといってよさそうな部分では、ソからシ♭の短3度という狭い範囲しかメロディの音程に用いていません(フェイクは除きます。フェイクは装飾的な動きのこととざっくりご理解ください)。音域としては曲中で使用される中で最も高く位置する短3度ですので、声の張り、伸びをたっぷり聴かせることができます。今陽子の魅力をとどろかせる好機なのです。 夜明けのコーヒー “夜明けのコーヒー ふたりで飲もうと あの人が云った 恋の季節よ”(『恋の季節』より、作詞:岩谷時子 作曲 いずみたく) 2