平川克美君は内田の小学校以来の親友で、大学卒業後、いっしょにアーバントランスレーションという会社を創設した。(彼が社長で、ぼく社員) 平川君の卓越したビジネスセンスと先見の明のおかげで会社はどんどんビッグになった。 ぼくは大学院の博士課程まで進んだところで、ビジネスを続けるか研究者の道を選ぶか迷ったあげくに、愉快なビジネス弥次喜多道中を切り上げて、よりストレスフルで孤独な研究者の道を選んだ。理由はいまでもよく分からないけれど、平川君とは違う世界で同じ夢を追うほうが、ふたりにとってもっと愉快なことが起こりそうな気がしたからかも知れない。その直観はたぶん間違っていなかったと思う。 ぼくが合気道に夢中になりはじめたころに、(示し合わせたわけでもないのに)平川君は松濤館空手の門をたたき、いまでは松濤館空手の最高段位に達し、ヴェンチャービジネスの雄であると同時に斯界屈指の武術指導者になっている。 と