この『moon』を作ったスタジオ、ラブデリックはわずか3作品を残して解散している。 『moon』、そしてアパート内のチキュー人たちを観察し、その様子からそこに隠れた見えない宇宙人たちを発見するという、発展的続編とも言えるアドベンチャーゲーム『UFO ~A day in the life~』、さらにミュージシャン坂本龍一氏との共同制作を掲げ、音楽、画面構成、そして思想までをアーティスティックな方向に振り切った『L.O.L.~Lack of Love~』の3本だ。 これらの作品は、発売から数年後に再販されたきり、アーカイブなどに入ることもなかったため、ただただ人々の記憶の中でイメージが増幅され、「そういう尋常じゃない名作があった」とだけ語り継がれた。そうしていつしかラブデリックは、伝説のスタジオとして語られるようになった。 YMOのアルバム『テクノデリック』にヒントを得たという名を冠した、この