[rakuten:arcam:10866150:detail] 現在2012年のわたしたちが、第二次世界大戦という歴史的出来事について、もっといえば、1945年8月にこの日本と言う国で起きたことについて、なにがしかの経験をしうるとして、それが単なる道徳的な繰り返し――二度と繰り返してはならない――という語を喚起するためのでないとして、いかにして可能であろうか。 1946年に生を受けたひとがいたとして、その人は2012年のこの現在において、66歳である。10-20歳までのうちに、1945年を経過したひとがいたとして、20歳で迎えた人は86歳である。 こうの史代が「この世界の片隅で」で描くのは、1945年8月のあのときに、20前後の広島出身の女性の抒情である。抒情とは、すなわち、嫁ぎ先で溌剌とした旦那さんと仲良く暮らす、すずが生きたであろうイマージュであり、そのイマージュの抒情性を形容するため
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