ブックマーク / blog.tatsuru.com (10)

  • 人間的時間 - 内田樹の研究室

    大学で昼から会議があるので、ブログを途中まで書いて、大急ぎで投稿してしまったが、もちろん、こんな説明では誰にも意味がわからないであろう。 どうして、押韻とアナグラムは「時間的現象」であり、私たちはそれをうまく語る時間論を持っていないのか。 それについてご説明しよう。 ある行末に fountain という語を置いたら、次の行の末尾は mountain が選好されるというふうに韻が選択されるとしたら、それはずいぶん詩作において不自由なことではないか。 福原麟太郎は英国の詩人たちにそう問いただした。 答えは「ノー」であった。 なぜなら、二行並韻は「いっしょに来る」からである。 因習的に、時間意識というのは直線的に「過去から未来に向けて流れる」と考えると尾韻は音楽的な響きの代償に詩想を制限するものとして現れてくる。 末尾の同音が二行続くことの代償に、詩想が制約されることは、どう考えても不利なバーゲ

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    bdst-0 2009/03/04
    『詩や音楽が作り出す時間』
  • ラジオの時代 - 内田樹の研究室

    年末にNHKラジオの収録が二回ある。 ラジオデイズ以来、ぱたぱたとラジオの仕事が続いている。 つねづね申し上げている通り、私はラジオというメディアがわりと好きである。 テレビには出ないが、ラジオには出る。 拘束時間が短いし(収録時間だけで「待ち時間」というのがない)、髪の毛ぼさぼさでパジャマ姿であっても放送上少しも困らない。 現場があまり専門職に分業化していない点もよい。 昨日来た二人はどちらもアナウンサーの方だったが、そのうち一人がMCで、一人はディレクターと録音技師を兼務。 やろうと思えば一人で全部できてしまうということである。 なにしろ制作コストが安い。 ラジオ放送のテクノロジーは「ミシン」や「こうもり傘」や「自転車」と同じで、もう改良の余地がないまで完成されている。 設備はもうできているし、そう簡単に劣化するものでもないから、その気になれば、あと50年くらいは既存の放送施設を使いの

  • とっても忙しい週末 - 内田樹の研究室

    師走である。 ほんとうにばたばた西へ東へ走っている。 風邪はようやく癒えた。 週末と来週にかけて最後の「死のロード」があり、はたしてちゃんとおつとめできるかしらと懸念していたのであるが、とりあえず治ってよかった。 土曜日、合気道の稽古をお休みして東京へ。 まずは苅谷剛彦さんと『中央公論』のための対談。仕切りは『大学ランキング』の小林さんと中央公論の井之上くん。 苅谷さんとお会いするのははじめてである。 苅谷さんはこの秋からオックスフォードの先生になられたので、イギリス住まいである。 今回は東大での集中講義のために一時帰国しているところを時間を作っていただいた。 話題はもちろん教育問題。 苅谷さんの『階層化日教育危機』は過去十年のあいだに読んだの中で、もっともインパクトのある書物の一つであった。 「インパクトがある」というのは内容が驚嘆すべきだったというだけではなく、その驚嘆すべきコン

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    bdst-0 2008/12/15
    「変わるな!日本」
  • 窮乏シフト - 内田樹の研究室

    ゼミの面接が始まる。 これまでに49人と面談。ひとり10分から長い人は20分くらいなので、すでに12時間くらい学生たちと話し続けている勘定になる。 ふう。 まだ20人くらい残っている。 たいへんな仕事ではあるけれど、総合文化学科の全2年生の3分の1くらいの学生たちと一対一で膝を突き合わせてその知的関心のありかを聞き取る得がたい機会である。 現代日の20歳の女性たちの喫緊の関心事は何か? 女性メディアの編集者であれば、垂涎のテーマであろう。 お教えしよう。 彼女たちが注目している問題は二点ある。 一つは「東アジア」であり、一つは「窮乏」である。 東アジアへの関心の主題として挙げられたものは「ストリートチルドレン」「麻薬」「売春」「人身売買」「児童虐待」「戦争被害」「テロリズム」「少数民族」などなど。 これらは、「法治、教育、医療、福祉、総じて人権擁護のインフラが整備されていない社会で人はど

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    bdst-0 2008/12/06
    『危機のときに「失ったもののリスト」を作る人間には残念ながら未来はない。』
  • アメリカはどこへ行くのか - 内田樹の研究室

    民主党のバラク・オバマ上院議員が第44代アメリカ大統領に決定した。 衰退期に入ったアメリカが ”Change the world” とあらゆる社会集団の統合を掲げた理想主義的なタイプの若い大統領を選択したことはこの国の「復元力」を証示したと言えるだろう。 しぶとい国である。 なぜ、この国が8年にわたってジョージ・W・ブッシュのような人物を大統領に戴いていたのか、私にはよく理解ができなかったが、今にして思うと「オバマが大統領になる」ためには、「直前がブッシュ」という条件が必須のものであったかも知れない。 もし、8年前の大統領選でアル・ゴアが勝っていたら(実際に票数では勝っていたんだけど)、バラク・オバマに出番はなかっただろう。(最初「4年前」と書いたけれど、新聞を読んでいるうちに思い出した。ゴアは8年前で、4年前はケリーでしたね。ケリーさん、影薄い・・・) アメリカはテキサス「根付き」のカウ

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    bdst-0 2008/11/06
  • 1968 - 内田樹の研究室

    A 新聞から電話取材で「68年」の総括。 そういえば、このところ「全共闘運動とは何だったのか?」というようなことをときどき訊ねられる。 三月ほど前に、『週刊昭和』だったかしら(違ったらごめんなさい)という雑誌の「1968年号」にこんなことを書いた。 団塊の世代の元・活動家たちは個人的な「物語」を回想しがちであるが、私はむしろそのような「物語」を集団的に賦活させた「文脈」の方に興味があった。 全共闘運動が日をどう変えたのか、というのが私に与えられた論題であるけれど、この問いに対する私の答えは「日は変わらなかった」というものである。あれだけのエネルギーと少なからぬ犠牲者を出しながら、この政治運動は公共的な「よきもの」をほとんど日社会に贈ることなく姿を消した。しかし、ではどうして「日を変えない」運動があれほどの動員力と熱狂を産み出し得たのか。それを説明しなければならない。 養老孟司は東大

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    bdst-0 2008/10/16
  • ア連 - 内田樹の研究室

    世界連鎖株安が止まらない。 株価が下がるのは株式の「価値」についての評価が下方修正されているということで、下方修正されるにはそれなりの「わけ」があり、「わけ」がある以上仕方がない。 これまで株価を過大評価してきたことによってたくさん「儲け」が出た。その「儲け」を今吐き出しているのである。 問題は「儲けた人間」と「吐き出している人間」がしばしば別人だということであり、それさえ気にしなければ全体としては「とんとん」なのである。 こういう調整はどのメカニズムにおいても働く。 アメリカは公的資金を投入して金融機関を救済することにした。平たく言えば、「銀行の国有化」である。ビッグ3にも公的資金を投入した。これは「自動車産業の国有化」である。 アメリカは新自由主義のもたらした社会的な歪みを補正するために今「社会主義化」されつつあるのである。 バラク・オバマが大統領になり、保険や年金制度などのセーフティ

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    bdst-0 2008/10/11
    新しいアメリカ
  • Mac Book Air 登場 - 内田樹の研究室

    死のロードの中日なので、ルータの故障を直しついでに、念願のMac Book Airを購入、同時に通信サービスをイーモバイルに切り換える。 IT秘書によれば、これは「茂木健一郎仕様」だそうで、「茂木さんが使っている組み合わせならまず問題ないでしょう」ということであった。 はあ、そうですか。 もちろん私にはイーモバイルとUSBメモリと体温計の区別もつくはずがない。 言われるがままである。 Mac Book Airは橋麻里さんのご推奨。 ネット上の画面でしか見たことがなかったが、手に持ってみると、たいへんかっこいい高性能マシンであった。 いままでのVAIOプラスPHSとはネット接続の速度が桁違いに速い。これなら無線LANで作業しているのと変わらない。 こうして通信環境が高度化し、それにつれて私のアウトプットも増量し、それにつれて私の人生が一層タイトで生きにくいものになってゆくことがわかっていな

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    bdst-0 2008/07/30
    グーグルは外在神
  • 被害者の呪い - 内田樹の研究室

    毎日新聞に三ヶ月に一度「水脈」というコラムを書いている。 いささか旧聞に属するが、そこに聖火リレーのことを書いた。 昨日の夕刊に出たので、もうブログに採録してもよろしいであろう。 こんな話。 オリンピックの聖火リレーをめぐる騒動を眺めていて、いささか気になってきた。何か「厭な感じ」がしたからである。何が厭なのか、それについて少し考えたいと思う。 熱い鉄板に手が触れたときに、私たちは跳びすさる。「手が今熱いものに触れており、このまま放置すると火傷するので、すみやか接点から手を離すことが必要である」というふうに合理的な推論してから行動するわけではない。たいていの場合、私たちはわが身に何が起きたのかを行動の後に知る。 聖火リレーにまつわる「厭な感じ」はそれに似ている。 だから、この論件については、誰の言い分が正しく、誰の言い分が誤っているというような「合理的」なことは申し上げられない。それは「

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    bdst-0 2008/05/13
    「自分自身にかけた呪い」
  • 内田樹の研究室: うなぎくん、小説を救う

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    bdst-0 2007/06/14
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