これから申し上げるのは、わたしが実際に仕事の上で経験したことです。これらは今日のIT業界の病根の深さを示すものです。 とある会社のシステム開発に呼ばれていったときのことです。まず見せられたのは画面見本でした。すでにHTMLで詳細な画面が作られています。画面数が多く、画面上の項目数も多い。これは相当意欲的なシステムだと思われました。これを実装できるなら、きっと充実した仕事になるでしょう。 ところがいつまでたっても開発が始まりません。誰がプロジェクトを管理しているのかもわからない。誰もスケジュールをはっきり説明できません。おまけにドキュメントサーバのどこを探しても基本設計書がありません。業務フローもなければシステム構成図もない。膨大なER図だけが公開されていて、ときどき修正されているらしい。 いつまでも遊んでいるわけにはいかないからと、詳細設計書を先に書くことになりました。基本設計書がないのに