第224回のスポットライトリサーチは、東京大学生産技術研究所芦原研究室の森近一貴(もりちか いっき)さんにお願いしました。 芦原研究室は、先端的な超高速分光技術を使って、物質の性質や化学反応を自在に操作する手法の開発を精力的に展開されています。 超高速分光の要である超短パルス光は、フェムト秒(fs, 1000兆分の1秒)やピコ秒(ps, 1兆分の1秒)といった非常に短い時間だけ強度をもつ光です。今回の主役は、その中でも中赤外領域のエネルギーを持ったパルス光です。この光を分子に照射すると、特定の化学結合に大きなエネルギーを注入できるため、普通の熱励起では起こせない様々な現象を引き起こせる可能性があります。今回紹介いただけるのは、うまく制御した赤外領域の超短パルス光と金属ナノアンテナを組み合わせて特定の振動モードを強励起することで、化学結合を切断できたという衝撃的な成果で、Nature Com