世界経済危機とドル暴落の恐れ……ずっと言われてきた問題がついに現実化しつつある。これからの世界はどうなるか。日本、そしてわれわれはどう生き抜けばいいのか。今秋、筆者は慶應SFCの授業「パブリック・ガバナンス」で学生たちとこの問題を討議している。教材はジャック・アタリ、サミュエル・ハンチントン、レーニンなど世界の思想家の代表作だ。毎週一冊ずつ読みながら日本への意味を考える。今回と次回はそこから見えてきたことを紹介したい。 一足先にテロとバブル崩壊の両方を経験した日本 1989年にベルリンの壁がなくなり東西冷戦が終わった。その後しばらくは「米国一国集中」「パクス・アメリカーナ」の時代だと言われたものの約10年後の2001年、9・11事件が起きた。それを契機に米国型資本主義とイスラム原理主義との対峙が新たな“南北問題”となる。そして今回の経済危機で強いドルの時代が終わりを告げつつある。通貨が弱く