軍事非同盟を貫いて19世紀から他国と戦火を交えずにきたスウェーデンが、ロシアの脅威の高まりを受けて、軍備強化へと方針を一変させた。島部に常駐軍を再配置し、7年前に廃止した徴兵制を復活させる。北大西洋条約機構(NATO)の加盟申請も現実味を帯び始めた。(ゴットランド島=渡辺志帆) バルト海に浮かぶスウェーデン領ゴットランド島。夏ともなると大勢の観光客が訪れるリゾート地だ。 だが、人口6万人足らずののどかな島は、国土防衛の要衝でもある。 5月中旬、紺碧(こんぺき)のバルト海を見下ろす島西部の高台で、陸軍防空部隊所属の兵士が地対空ミサイルの模擬弾を可動式発射台に載せる演習を行っていた。 島の南東約300キロのバルト海対岸には、ロシアの飛び地カリーニングラードがある。近年、ここに核搭載可能な短距離弾道ミサイル「イスカンデル」などが配備されたとされる。 ロシアによるウクライナ南部クリミア半島併合など