タイトルは『みんなの映画100選|あのシーン|あのセリフ』であるし、ページをめくればどこかで見たような味のあるイラストの横にそれらしい言葉が載っているので、一見名言集に見えなくもないが、これはあくまで映画のセリフを軸にした「映画紹介本」であり、そのメッセージは帯にあるように「そうだ、映画を観よう!」である。 制作は、イラストレーターの長場雄さんという人が「好きな映画」の「好きなワンシーン」を描き、ライターの鍵和田啓介さんという人がその映画から「好きなセリフ」を抜き出して勝手に解説を書いた、のだそうである。 本書に収められたセリフの数々を読んでみると、どれもいわゆる名言という感じはしない。人生の役に立つとか、ブルーな気持ちをあったかくしてくれるような気の利いたセリフもなくはないが、それよりは「ん……いったい何が言いたいんだ?」と不思議に感じて、思わず下の解説を読んで、その作品に興味をひかれて