おれは怠惰に生きてきたが、悪行をして生きてきたということはない。法やモラルを守っておとなしく生きてきた。その見返りはなにもない。そう気づいたのはいつだったろうか。金銭的に追い詰められ、人生を終えようとしている最近のことかもしれない。 不良が更正してビジネスで成功する、などという話がある。それは当たり前のことなのだ。なぜならば、それなりの膂力や度胸、対人能力、そして知恵がなくては不良になれないからだ。そして、それらの有能は不良でない世界でも通用する。 マイルドヤンキーという言葉を見るようになった。もしそういう階層があるとして、彼らがそれなりに生き続けられるのも、それなりの有能があってのことにほかならない。おれのような他人を忌み嫌う脳を病んだ短躯の無能者にはなれやしないのだ。 おれに言わせればマイルドヤンキーなどマイルドエリートにほかならない。おれは金がなくて近々死ぬことになる。かれらは何らか