人身売買・奴隷・拉致の日本史 作者: 渡邊大門 出版社/メーカー: 柏書房 発売日: 2014/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る たまに日本に奴隷はいなかったと思っている人がいるみたいだが、当然そんなことはない。歴史書に奴婢・生口・下人などの名前で出てくるのがそれである。彼らは良民に隷属し、譲渡・売買・相続の対象になった。この本は古代から戦国時代までの歴史書に登場するそれら奴隷の例が載せられているが、なかでも「良民から奴隷になることの禁止」について触れたものが目立つ。 労働力として奴隷を求めるものは多いが、社会全体にとってみれば必ずしも奴隷は好ましいものではない。律令制度では奴婢に対して良民より少ない口分田が与えられていたが、不輸不入の権を持つ荘園で働かされれば全く税がとれなくなる。限られた土地で奴隷労働をさせ他の土地を荒れるに任せるよりは、農民にそれぞれ土地を与えて耕