1989年6月4日、中国北京(Beijing)の天安門広場(Tiananmen Square)に進入しようとし、群衆に燃やされた約20台の装甲車(1989年6月4日撮影)。(c)AFP/MANUEL CENETA 【6月4日 AFP】その男性は世界的に知られていながら、無名だ──1989年6月5日、中国北京(Beijing)の天安門広場(Tiananmen Square)で戦車の隊列の前に一人で立ちはだかった男性は、25年経った今も、平和的な抗議行動と抵抗の象徴とされている。 その日のまもなく正午だった。両手に買い物袋を提げた白いシャツ姿の男性は、天安門広場の北側を走る大通りの中央に進み出た。民主化を夢見た学生たちの姿は、広場からすっかり消えていた。広場では前日、民主化を求めるデモを軍が武力で鎮圧し、抗議の参加者に多数の死者が出ていた。通りのずっと先まで何台も連なる戦車や装甲車。男性は先頭