岸田文雄首相が年内の衆院解散を見送る意向を固めたことを受け、自民党内には、「解散風」を政権運営に利用してきた首相への不満が噴出し始めた。首相が率いる岸田派は党内第4派閥で党内基盤が盤石とは言えず、来秋の総裁選再選を危ぶむ声も出ている。 首相は今年6月の通常国会終盤に、記者会見で「会期末の間近にいろいろな動きがあることは見込まれ、情勢をよく見極めたい」と述べ、衆院解散に含みを残した。そうして吹き荒れた解散風は、防衛関係の法律成立に向けては野党への牽制(けんせい)になる一方、自民党に対しては、性的少数者への理解を広めるための「LGBT理解増進法」の国会提出を主導した首相への保守派の不満を抑え込むための道具にもなった。 だが、首相が持つ権限をもてあそぶかのような手法は、自民党内に禍根を残した。「衆院選があるかもしれない」と思わせたことで、選挙事務所のプレハブを建てたり、広い駐車場を借りたりした自