(1)1996年ごろ、スウェーデンはまさにパラダイスだった。学費も出産もすべて無料で、「仕事も子育ても勉強も」バリバリできる環境が整っていた。 当時は社会民主党政権下で、社会保障給付陽の対GDP比は50%を占め、児童手当などが国の事業として施行されてきた。このとき、国民に平等で良質の生活を保障する「社会福祉大国」スウェーデンは、確かに機能していた。 (2)リーマンショック(2008年)をきっかけに、スウェーデン・モデルは明らかに揺らいでいる。 2006年に政権に就いた穏健党は、教育や医療の民営化を次々に推進した。今、スウェーデンの学力は、OECD加盟国中、下から3番目に落ちた。病院の待ち時間も、加盟国中ほぼ最長という統計まで出る始末だ。 この傾向を深刻化させたのが難民問題だ。 (3)2013年9月、スウェーデン政府は「入国を希望するシリア難民全員を受け入れる」と発表した。一時的な滞在許可だ