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ブックマーク / yahara.hatenadiary.org (8)

  • 評価と報奨のむつかしさ(2) - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)

    今回は、研究の評価について考えてみる。 研究の評価に関しては、教育の評価に比べれば、現実的な可能性がある。 教育と違って、人と人との関係ではないので、研究内容や研究実績についてはより客観的な評価ができる。 また、教育とは異なり、自分の探究心を満足させるための行為、つまり利己的な行為なので、評価の結果を報奨に結びつけることに、教育評価の場合のような倫理的違和感はない。 ただし、研究の評価は案外、一致しないものである。私は、4つの組織で教員採用人事に携わった経験があるが、研究の評価基準は組織によって大きく異なっていた。また、同じ組織でも、教員によって考え方が大きく異なり、候補者を絞り込む段階で大きく意見が分かれることは珍しくない。 研究評価の基準としては、論文数や、被引用度がよく使われる。しかし、私の経験では、人事の最終段階で、この2つの基準が使われることはあまりない。批判を恐れずに言えば、ほ

    評価と報奨のむつかしさ(2) - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)
  • 松本和子教授研究費不正使用問題(続) - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)

    元村有希子さんが、今日の「発信箱」(毎日新聞朝刊2面)で、「黙せず語れ」と題して、この問題をとりあげられた。 松教授の沈黙は歓迎できない。彼女が不正に受け取った研究費は、私たちの税金から出ている。ジダンが黙ってもサッカー人気は衰えないが、彼女が黙ると、日の科学技術への信頼は急降下する。 賛成である。この問題が、日の科学技術に与えたダメージは甚大だ。早速、100億円あまりの予算が凍結された。それ以上に、国民の信頼を失った影響は、はかりしれない。松教授の沈黙は、彼女が日の科学に対して、責任感を感じていないからではないか。 毎日新聞の「土曜解説」では、下桐実雅子さんが、「大学研究費の不正使用 急増に管理追いつかず」と題して、記事を書かれている。 「不正はなぜ起きたのか?」と問題を提起したあと、「特定のスター研究者に資金が集中する弊害も出ている。松教授を知るある関係者は『潤沢に研究費を

    松本和子教授研究費不正使用問題(続) - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)
  • 松本和子教授事件の背景と教訓 - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)

    昼にリンクを設定したウェブ上の資料に、一通り目を通した。 感想の第一点。研究費が余っているから、蓄財できたのだ。 科学技術振興調整費の場合、年間研究費は平成11−13年度を通じて、毎年約2億円だった。4つの研究チームで均等分割していたとしても、松チームには、毎年5000万円の研究費があった。代表者への配分額は、おそらくもっと多かっただろう。研究内容は、DNAマイクロアレイ用に、従来よりも長期間持続する蛍光ラベリングの技術を開発するというものである。「希土類錯体蛍光ラベル」という松教授の技術が、競合する他の技術に比べて、どの程度オリジナリティがあり、どの程度有望なのかは、私にはよくわからない。しかし、この研究テーマは、毎年5000万円の研究費がなくてもできると思う。専門は違うが、その点はおよそわかる。化学的な研究の場合、インフラさえ整っていれば、大学院生ひとりあたりの消耗品費が年間100

    松本和子教授事件の背景と教訓 - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)
  • 特別研究員採用率と修了者の就職状況 - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)

    「学振特別研究員は常勤研究職への近道」で紹介した資料と私の予想を、「学振DC/PC採用率と学振DC/PC終了者の就職状況の変化」と題して、私のウェブサイトに載せた。 リンクのページの、「オーバーポスドク問題関連資料」のセクションで、リンクを設定しておいた。 1枚目のフローチャートは、平成15年度修了者の就職状況。 2枚目のフローチャートは、平成18年度修了者に関する私の「予想」である。どのような仮定をしたかは、図を見ていただければ、ご理解いただけると思う。 この分析は実は「学振以外のポスドク職の数が変わらないと仮定し、常勤研究職・非常勤研究職のポスト発生数も変わらないと仮定して」行われたものではなく,研究職ポストに採用される DC 終了者の絶対数 が変わらないと仮定したものだと言える.しかし,学振出身者が研究職への就職に強いという引用元前半の話や,DC 採用率が増えている (= DC じゃ

    特別研究員採用率と修了者の就職状況 - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)
  • 学振特別研究員は常勤研究職への近道 - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)

    学術振興会プログラムオフィサー(正式には学術システム研究センター生物系科学専門調査班専門研究員:名簿はコチラ。このメンバーで科研費・学振特別研究員の審査員を選ぶ)をつとめているので、かねてから知りたかった特別研究員の「個体群動態」に関する資料が入手できる。 会議の配布資料とウェブサイトに公表されている資料から、将来の見通しを推測して、先日の会議で報告した。良くも悪くも、委員の「感覚」とかなりかけはなれた実態がある。 きちんとした数字の裏づけにもとづいて、政策決定をする必要があるのだが、現実には必ずしもそうなっていない。私で可能な範囲で、改善の努力をしたい。 いくつか、これまでに判明した重要なポイントを要約しておく。 1 学振特別研究員に採用された者は、就職率が抜群に良い。 平成15年度終了者(平成13年採用)の場合、PDでは43%が常勤研究者、19%が非常勤研究者、27%が他のポスドク

    学振特別研究員は常勤研究職への近道 - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)
  • 「利己的な遺伝子」増補新装版 - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)

    「利己的な遺伝子」は依然として影響力のあるなのだろう。 <増補新装版>が出版されたそうだ。 利己的な遺伝子 <増補新装版> リチャード・ドーキンス (著), 日高 敏隆 (翻訳), 岸 由二 (翻訳), 羽田 節子 (翻訳), 垂水 雄二 (翻訳) 紀伊國屋書店 ; ISBN:4314010037 ; 増補新装版 (2006/05/01) 書を読んで目からうろこが落ちたという長谷川さん(昨日の日記参照)と違って、私はこのにまったく影響を受けなかった。Dawkins "The Selfish Gene"が『生物=生存機械論』というタイトルで邦訳されたとき、私はMaynard Smith "The Evolution of Sex"などをすでに読み、群淘汰による説明の問題点を理解していた。『花の性』(ISBN:4130601601)に書いたように、"The Evolution of Se

    「利己的な遺伝子」増補新装版 - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)
    bhikkhu
    bhikkhu 2006/05/11
    ""The Selfish Gene"で解説されている考え方を、本格的な進化理論のテキストを通じて学んでしまった。"普及書飛び越し。あるある。
  • ハリケーンと温暖化:不確実性にどう向き合うか? - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)

    理系白書ブログの元村さん曰く。 7月にNOAAが今シーズンのハリケーン予測をしていたけれど、「例年より上陸数が多く、威力も増す」との内容だった。今のところ、うれしくないけど大当たりというところか。 地球温暖化と結びつける人がいるけれど、どうなのだろう。 これに対して、「何でもかんでも地球温暖化、それも二酸化炭素原因説ですまそうとする風潮は困ったものです」というコメントが出ている。 確かに、地球温暖化と二酸化炭素の因果関係は十分に立証されているとは言えない。また、地球の大気温度が上昇しているとしても、それが海水の温度上昇にどれくらい寄与しているかは、定かではない。海水の温度上昇自体は、観測されている傾向だが、それがハリケーンや台風の発生にどの程度影響しているかについても不確かさがある。このように、環境問題は不確かさに満ちている。 不確実性にどう向き合うか? この問題については、先日の「遺伝子

    ハリケーンと温暖化:不確実性にどう向き合うか? - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)
    bhikkhu
    bhikkhu 2005/09/25
    不確実性への対応と仮説選択の合意形成
  • 専門馬鹿がなぜ悪い? - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)

    「理系白書」の元村さんの活躍には敬意を払っている。しかし、5月26日のブログには、大いに不満がある。 元村さん、曰く。 文系の理系音痴を言うのと同じく、理系の「専門馬鹿」(他の専門分野に疎い、無関心)は問題ではないか 理系人の社会リテラシーは十分か このような問題設定に、はたして客観的根拠があるだろうか。 他の専門分野に疎い、あるいは無関心な人は、理系でも文系でもいる。そういう人が理系出身者に多いという統計的に有意な傾向があるのだろうか。私の経験では、理系にも文系にも、他分野に無関心な人と、好奇心旺盛な人がいる。理系と文系で、その比率が違うかどうかは、定かではない。研究者の中では、むしろ理系のほうが、好奇心旺盛な人が多いように思うが、これは主観的印象であり、客観的根拠はない。 「理系人の社会リテラシーは十分か」という問いかけには、「理系人は社会に無関心、あるいは世間知らず」という評価が背景

    専門馬鹿がなぜ悪い? - 空飛ぶ教授のエコロジー日記  (Y日記)(研究業務用)
    bhikkhu
    bhikkhu 2005/08/28
    コメント欄も。ひとまず専門分野を持てというのには禿同。ステレオタイプ化にも根拠が必要というのも当然。
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