【ソウル=門間順平】第2次世界大戦中に朝鮮半島から徴用された韓国人の元労働者に対する賠償を日本企業に命じた10日のソウル高裁判決は、日韓関係が好転しない中、反日世論に「配慮」した判決といえる。 韓国政府は、日本政府と同じく元労働者の請求権は存在しないとの見解を示しているが、こうした司法の姿勢が足かせになり、今後、方針転換を迫られる可能性もある。 「判決が確定すれば、日韓関係に重大な影響が及ぶ」。10日の判決宣告後、日本政府は外交ルートで、今回の判決に対する懸念を韓国外交省に伝えた。 日本側が問題視するのは、1965年の日韓請求権協定で、「完全かつ最終的に解決された」としている強制徴用の元労働者に対する賠償請求権を認定したことだ。同高裁は、被告とされた新日鉄住金に、1人あたり1億ウォン(約880万円)の賠償を命じた。日韓外交筋は「戦時中のことを、戦後にできた(韓国)憲法の精神に反するとして裁