2000年の秋に『ベルサイユのばら』DVD-BOX解説書のための取材で、数年ぶりに荒木伸吾さんにお会いした。テープレコーダーを停めた後、荒木さんは「そろそろ引退を考えているんだよ」とおっしゃって、僕にはそれがちょっとショックだった。 この記事を読んでいる読者の中に、まさか荒木伸吾の名を知らぬ者はいないと思うが、一応、紹介しておく。荒木さんは、元々は貸本劇画で作品を発表し、その後に、虫プロダクションでアニメーターとして活動を始めた。虫プロを離れた後、『巨人の星』や『あしたのジョー』での劇画タッチの作画で一世を風靡し、70年代後半からは流麗なタッチで次々と魅力的なキャラクターを生み出して「美形キャラの第一人者」と呼ばれた。『バビル2世』『魔女っ子メグちゃん』『惑星ロボ ダンガードA』『ベルサイユのばら』等、手がけた作品を挙げていったらきりがない。最近では、パートナーの姫野美智さんと共に『金田一