そこで岩崎氏のチームは、2群のマウスで対照実験を行った。片方はACE2受容体が脳だけに発現しているマウス、もう片方はACE2受容体が肺だけに発現しているマウスだ。これらのマウスを新型コロナウイルスにさらすと、脳に感染したマウスは急激に体重が減少して6日以内に死んだが、肺に感染したマウスは違った。 マウスの研究結果である点は割り引かねばならない。が、それでも、これは脳感染が呼吸器感染以上に致命的となる可能性のあることを示している、と岩崎氏は話す。 肺の炎症が脳卒中につながるケースも 新型コロナは、嗅覚を司る嗅球、眼、さらには血流を介して脳に侵入する可能性がある。実際にどの経路で侵入しているかは明らかでなく、また感染者に見られる症状を説明できるほど頻繁に侵入が起こっているのかどうかもわかっていない。 「科学的データが臨床的証拠に先行している事例だと思う」とムオトリ氏。 脳感染がどれほどの頻度で
