なぜ音楽家は、音楽を作るのか……。これだけ音楽が溢れた世界で、人の手によらない音楽さえも生まれ始めている時代だからこそ、改めて今、音楽を作る理由や動機が問われているのではないかと思う。 君島大空は、活動を一貫してひとつの「動機」から音楽を作り続けてきた。その詳細はデビューEP『午後の反射光』から6年間を振り返った記事を読んでほしいが、最新EP『音のする部屋』はその活動が新たな段階に入ったことを、静かに、しかしながら激しく伝えている。 「今までやったことのない、新しいことをする」という決めごとのもとで作られた楽曲たちは、なぜ生まれ、何を伝えようとしているのか。全曲解説で紐解いていく。 活動が一周した手応え、黒沢清やJホラーの影響から生まれた『音のする部屋』 ―『午後の反射光』(2019年)から6年を振り返ってどうでしたか? 君島:この6年間、悔しさの中でずっとやってきたなと思います。やっぱり
