「デルス・ウザーラ Derus Uzala」 1975年 - ウラジミール・アルセニエフ、黒澤明 Akira Kurosawa - <異色の名監督> 日本が生んだ名監督は数多いのですが、その中でも黒澤明は異色の存在です。それは彼が実に多様なジャンルの映画を撮っている点です。小津安二郎なら「家族」、北野たけしなら「暴力」、山田洋二なら「庶民の人情」と、ある程度テーマを決めている監督が多い中、彼だけは一作ごとにテーマがまったく異なっています。 「用心棒」は痛快娯楽時代劇、「天国と地獄」は犯罪ドラマ、「影武者」は歴史時代劇、「白痴」はロシア文学の日本版、「赤ひげ」は江戸時代を舞台にした医療ドラマ、「蜘蛛の巣城」は能によるマクベスの日本版、「羅生門」は実験的視点をもつ文芸推理ドラマ、「生きる」は感動人生ドラマ、「野良犬」は正統派刑事ドラマ、「姿三四郎」はスポコン・ドラマの先駆け、「わが青春