夢の中で泣いたことを覚えている朝。ベッドの中にて ぼんやりした頭で考える。「あの少年は誰だったのだろう?」「私達はどこへ向かおうとしていたのだろう?」 夢の中で 少年は小さな声で言った。「家の物に全部 差し押さえの紙が貼られて もう触ることもできなくなったんだよ」。私は「そっか・・・」と答えて少年の手を握る。この事態になっては最早、小学生の彼には為す術もないだろう。家族でもない私とて同じこと。私達は手を繋ぎ、行き先も定めないまま ゆっくりと歩くしかなかった。 『夢は潜在意識の表れ』と言われてはいるけれど【潜在意識とは、過去の経験などによって無意識のうちに蓄積された価値観、習慣、思い込みから形成された、自覚されていない意識である (Weblio辞書)】とあるように、本人にすら解らないものなのだから、今朝 見た夢を分析するのはやめよう。 と言いつつも、何となく自分でもわかることもある。あの見覚