1868年明治政府樹立、1894年日清戦争――。世界が日本に注目し始めた1899年、新渡戸稲造がアメリカで出版したのが『武士道』である。キリスト教を持たない東洋の国にも精神性の高い文化があることを、本書を通じて説明した。 7つのキーワード 武士道とは何か。新渡戸は7つのキーワードを使って解説している。武士道精神の根に当たるのが「誠」と「名誉」。常に誠意を持ち、命以上の価値を重んじていた。 この結果、勇気と忍耐からなる「勇」、周囲に敬意を払い続ける「礼」といった態度につながった。そうした人格をベースとして、仕える君主に対して敬意を示し(忠義)、敵も含めた他人へはフェアに接し(義)、貧しき人たちへの優しさを持った(仁)。 社会と他人への付き合い方に関する、精神の在り様こそが武士道なのであった。 武士道でビジネスを見つめる 個人主義が力を失いつつある今、社会をとらえるために武士道へ再びスポットが