海洋研究開発機構(JAMSTEC)地球環境変動領域・寒冷圏気候研究チームの猪上淳チームリーダーらの研究チームは、海洋地球研究船「みらい」によって蓄積されてきた現場観測データを用い、北極海の夏から秋に発生する高度500m以下に雲底高度を持つ下層雲が、海氷の減少に伴って30%減少したことを明らかにした。同成果は米国地球物理学連合発行の学術誌「Geophysical Research Letters」に掲載されたほか、「Nature Geoscience」にもリサーチハイライトとしても紹介された。 夏の北極海上では背の低い雲(下層雲)が発生しやすく、この雲は夏の太陽放射(短波放射)を遮る効果(日傘効果)があるため、夏のごく短い期間は海氷を溶けづらくする効果があることが知られているが、秋から冬にかけては、雲底からの下向きの赤外放射(長波放射)により、海氷面を暖める効果(温室効果)があることが知られ