最近、レンタルビデオ店に行ったときのこと。何気なく見ていたDVDの棚の中から、一本の映画を発見した。1997年、アメリカ製作の『ソウル・フード』。「わわっ、なんとストレートなタイトル。これは観ろってことだよな」とひとりごちながら、レジカウンターへ。 シカゴに住むアフリカ系アメリカ人家族のことを描いたヒューマン・ドラマなのだが、その中心となるのが母親がつくる「ソウルフード」。それぞれ家族を持った三姉妹は、毎週日曜日になると料理上手な母親の家に集まり、母の料理を手伝って食卓を一緒に囲む。個性の異なる三姉妹はときにぶつかりあうが、母のソウルフードがそんな家族の要となり、絆を深めていく。切なくも心が温まり、家庭の食卓が恋しくなる映画だった。 そもそもアメリカにおけるソウルフードとは、アフリカ系アメリカ人の伝統料理のことを指すらしい。奴隷制の時代、奴隷とされたアフリカ人たちは牛や豚の内臓といった雇い