ばら戦争を終結させてイギリスにテューダー朝を創始したヘンリ7世の跡継ぎとして即位したのがヘンリ8世である。 彼は、イギリス絶対王政の基礎を固めた王とされ、王権の拡大に努めた。彼は、その生涯に6人の王妃を次々と娶っている。 (1)カザリン スペイン王フェルナンド5世とイザベラの子。もともと早世したヘンリ8世の兄の妃であったが、スペインとの同盟維持を望む父ヘンリ7世が、むりやり結婚させたのである。 聖書は兄嫁との結婚を禁じているので、当時の教皇に特別に許可をもらって結婚にこぎつけた。このときヘンリ8世18歳、カザリンは24歳だった。 二人の間には、6人の子ができるが5人までが死産、たった一人の娘がメアリ1世(位1553~58)であった。ヘンリ8世は、王子を授からないことに、しだいに不満と焦りを募らせていった。 (2)アン・ブーリン ヘンリ8世は、王子を授からないのは、聖書の戒律を破って兄嫁と結