これはわれわれの設計した「屋根の家」です。ことのはじまりというのは、「手塚さん、きてください」と呼ばれまして、その頃仕事がなかったのでいそいそとかけつけまして、話を聞きました。 だいたい建物をつくるという時は、「この人って何だろうな」と、心理学者みたいな感じで、相手の中から深層心理を引き出すようなことを一生懸命するんです。要は趣味とか好きなことだけ引っ張り出そうとするんです。調子に乗せてあげると、みんなその気になっちゃうんですね。 この家の方にも「面白いことは何ですか、何をして過ごすのが好きですか」と聞いたら、「この屋根の上でご飯を食べるのが好きです」との答えが返ってきました。「この窓から出て、晩ご飯や昼ご飯をを食べるのが好きです」と。実際に屋根に登っている写真を見せられたのですが、瓦が落ちかけたりしていてかなり危ない。「娘さんたちは大丈夫ですか?」「夫婦も一緒に四人で上がってまずから大丈