コロナショックがビジネスマンの働くスタイルを大きく変えている。深刻な打撃を受けたのがスーツだ。テレワークでカジュアル化が一段と進み、着用する機会が激減。入社式や対面でのリクルート活動がとりやめとなり、“ビギナー市場”も消失した。このまま「脱スーツ」の流れは加速するのか。服飾評論家の石津祥介さんが熱く唱えるのは「スーツは男のおしゃれの神髄。今こそ楽しまなければ損」という逆張りの提言だ。そこで今回のお題は、スーツの楽しみ方について。在宅勤務でスーツから遠ざかった人も、酷暑の和らぎに合わせて思わず袖を通したくなるような、魅力あるうんちくに耳を傾けてみよう。 ――石津さん、きょうはいつもの紺ブレではなく、茶のスーツですね。コットン地ですか。 「スーツの話だから、家に帰ってスーツに着替えてきましたよ。普通の紺のスーツではないのが僕のスタイル。こちらはコットンなのだけど、着た時の感覚はウールのサージみ