イベントに参加したピーコさん(後列のピンクのセーター)。若手社員ながら社内でも一目置かれていた(写真は全て井上捷一さん提供) 9月3日に亡くなった服飾評論家のピーコさん(本名・杉浦克昭さん、享年79)は、19歳で三陽商会に就職して5年ほど働いていた。1960年代の三陽商会でピーコさんと同僚だった井上捷一さんと梨田昭仁(仮名)さんの2人に、ピーコさんとの思い出を語ってもらった。 当時、三陽商会はコートを主力商品にしていて、7~9月あたりは比較的ヒマな時間が多くありました。婦人服営業担当だったピーコは、閑散期は映画館で何本も映画を観る時間に充てていたようです。ピーコは繁忙期には人並み以上にコートをたくさん売ってくれたため、誰からも文句は出ませんでした。 私は社内の野球部に所属していました。ある日、私のユニホームを「洗ってあげる!」と言い出しました。やがて神宮外苑での早朝6時からの朝練にも来るよ