日本から見ると、中国は世界でもっとも言論統制が厳しい国だと思われがちだが、そうではない。世界のそれぞれの国に事情があり、日本に比べて基準が厳しい、あるいは緩いという相対的なものでしかない。日本は世界で有数の基準が緩い、あるいは比較的作者が自由に作品を発表できる国だと感じる。もちろん出版社の判断は介在するが、国が出版物の内容をひとつひとつチェックすることはない。 実は中国も、出版段階で国がチェックしているわけではない。日本と同様に出版社が独自にチェックし、問題ないと判断するまで修正を行ない、出版する。出版後に、これは反中だ、反共産党だ、あるいは暴力的すぎる、性的すぎると騒がれてから、国が調査に乗り出すケースが多い。騒がれるラインは異なるが、実は中国と日本の出版時点での国の関与レベルは同程度なのである。 違いはペナルティの大きさにある。中国では出版管理規定により、出版社が1年に出版できる書籍に