W杯の開幕2カ月前に就任した西野朗監督の下、チームは順風満帆に歩んでいたわけではなかった。初采配の5月30日のガーナ戦から親善試合は無得点で2連敗。DF長友は「チームになっていなかった」。低調な試合内容だった。 4月に日本協会は、選手との信頼関係が薄れたとしてハリルホジッチ監督を解任。後を受けた西野監督は、MF本田、FW岡崎ら発言力あるベテランを復帰させた。前監督に抑えつけられたと感じていた選手は、重しが取れたようにそれぞれの主張を強めた。 西野監督は技術委員長を務めていたころ、ハリルホジッチ監督に物申すことはほとんどなかった。協会内からは意思疎通を図るように求められ、選手の目には前監督の言いなりに映った。チーム内から「まるで(携帯電話の)ストラップ」とささやかれたことも。そんな事情もあり、西野監督の選手の自主性を重んじる姿勢は当初、よからぬ方向に行きかけた。 監督は目指すサッカーを明確に