第1章 昭和63年度の経済の動き 第6節 景気の現局面 (世界経済の現状) 1988年の世界経済は順調な拡大を示した。アメリカは輸出,設備投資の伸びから3.9%成長,西欧でも設備投資など内需中心に拡大が続いた。同時に,その過程で次第にインフレ懸念が生じ,88年度から,いずれも公定歩合引上げなど金融政策の転換が行われた。しかし,原油価格上昇などもあって,物価上昇率は徐々に高まり,これらに対して,89年に入ってから,各国は公定歩合をさらに引上げた。特に,アメリカの金利上昇がドル高を招き,欧州での金融政策にも影響を与えている。アメリカでは,金利上昇の影響が住宅や乗用車などに表れ,このところ内需拡大のスピードはやや鈍化しているとみられる。 このように適度なスローダウンによって,アメリカがインフレ抑制と景気上昇の持続に成功することが期待されている。この間,アメリカ経済の先行きに楽観的な見方が拡がるの